今までの記事で自家消費の経済的メリットが分かって頂けたかと思います。では導入にあたり、どのような点に気をつける必要があるのでしょうか?
ズバリ結論からいきますと、電力使用量(需要)と逆潮流の2つがキーワードになります!
まずは、どの程度の電力を使用しているか、またどのように使用しているかをまず把握する必要があります。
当然、電力使用量が大きければ、自家消費するメリットは大きくなります。屋根に目一杯、太陽光パネルを載せて発電しても問題なくなります。各電力会社においてスマートメーターを導入していることから、登録すれば電力使用量を確認することができます。
どのように使用しているかですが、冷凍倉庫のように1年を通して電力を一定に使う場合は、発電の制御も単純ですし、自家消費率を高めやすいです。
週末や昼休みは工場の設備を止める場合ですと、特定の日時において系統側に逆潮流しないように発電を抑制する必要が出てきますが、これも自家消費率を高めやすいですね。
一方、日中よりも早朝のみ、夕方~夜にかけて電気使用量が増えるといった場合ですと、発電と消費のタイミングがずれるので自家消費率は低くなります。こういう場合は、余剰売電で電力を販売できるようにする必要があります。
特定の時間帯や設備を動かす際に電力のピークが高いが、それ以外の時はあまり使わないため全体としては電力使用量が少ない場合も自家消費率は低くなります(ピークの使用電力を抑えるために蓄電池を使うワザがあります)。
自家消費ですと、逆潮流しないように設計するのが一般的ですが、系統への逆潮流が全く禁止されているわけではありません。逆電力保護リレー、RPR ( Reverse Power Relay)と呼ばれる保護リレーを取り付け、系統へ逆潮流しないようにすると、電力会社は太陽光発電の系統への影響を検討する必要がなくなるため連系協議が短縮される次第です。
しかし、RPR を1秒で動作させるというような状況では、需要よりもかなり抑え目にして発電しないと急激な変動に間に合わない可能性があります。そのため、発電を抑えめにしなければならず、自家消費率が低くなってしまいます。
そこで、有償または無償で逆潮流してもOKかを電力会社に確認しましょう。ここでOKがでれば、太陽光発電を大規模に導入し、自家消費の恩恵をたっぷり享受できます。
逆潮流不可であっても、電力会社の計測は1秒単位ということはないため、RPR が動作する整定時間をなるべく延ばしてもらいましょう。計測と制御の速度に合わせて、30秒や、1分など延ばし、発電抑制するようにすれば、これも自家消費の恩恵にあずかれます。
九州、中国、四国など、出力抑制が始まっている地域では逆潮流NG となるケースがあるようですが、RPR の整定時間については相談できるようです。工業団地などであれば、多少逆潮流しても大丈夫そうな気がしますね。
東京、中部、関西といった地域では逆潮流してもOKとなるケースが多いとのこと。電力会社での検討時間は必要と思いますが、導入のハードルは下がり、太陽光パネルを多く載せ、自家消費率を上昇させることが可能です。
なお、逆潮流の電力買取がOKであれば、10kW未満の余剰売電の他にも、再エネ由来電力の買取価格を設定している場合があります。10kW 以上の設備であればこちらを用いることになります。参考: 東京電力PG 社は税込10.86円/kWh
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