太陽光の自家消費案件で気をつけたい点を紹介していきたいと思います。
太陽光パワコンは電力の直交変換時に漏れ電流が発生します。太陽光パワコン以外にも直交変換するものとして、インバータ機器が広く知られています。エレベーターやポンプなど、モーターの可変速制御などに幅広く使われていますが、これらの機器からも漏れ電流は発生しております。
漏れ電流は、直交変換時の半導体素子の開閉サージによって発生するためインバータ機器の宿命といえます。一般的にはノイズフィルタや、高周波対策したブレーカを使用するなどで対応します。しかしながら、太陽光パワコンの場合、一般的なインバータ機器とは異なる点があります。それが、太陽光パネルです。
直流側に太陽光パネルがあり、大容量機になればなるほど、そのパネル枚数が多くなり(設置面積が増える!)屋根間(あるいは地表間)の間の静電容量が増大します。静電容量の増大は漏れ電流の増大につながります。この漏れ電流の大部分は静電容量に起因するため、500mAといった大きな値を計測したとしても、感電や火災などの事故には直接つながりません。
ただし、漏電ブレーカーが誤トリップすることがあります。よって、200Vや420/440V系出力のパワコンであっても直接負荷やフィーダーに接続すると、この漏れ電流が回り込んだり、上位側に流れ込んだりします。その結果、負荷側や上位側の漏電検出が働き、不要トリップや、警報の発報につながります。太陽光設備は専用の昇圧変圧器やダウントランスを介して漏れ電流が他の負荷や系統へ流れ込まないように縁切りしましょう。
また、万が一、落雷や誘導雷が太陽光パネルに発生したときでも、変圧器が耐雷仕様であれば雷侵入を防ぐ効果も期待できます。設置場所に応じて選択肢に入れておくと安心です。屋上に避雷針や、避雷導体が施設されていたり、そもそも周囲にもっと高い建物があれば変圧器に耐雷仕様まではなくてもよいと思います。
変圧器のリアクトル成分にはノイズフィルターの役目もあります。パワコンメーカーからパーセントインピーダンスに指定の値があれば、その値で設計・製作しましょう。100kW程度の分散型パワコンでは聞いたことはなく、1MWなどの大型パワコン特有のものかもしれませんが、直交変換時の搬送波のピーク電圧値や、電圧の傾きなどの指定がある場合もあります。メーカー指定の仕様に沿った変圧器を用いてノイズの少ない高品質の電力を負荷に供給しましょう!
以上、変圧器を入れるメリットでした。変圧器分のコストと損失は発生しますが、漏れ電流防止、雷対策、ノイズ低減が可能となります。太陽光を載せてからトラブルが発生しないよう予め対策しておきたいですね。
導入にあたり障害となるものとしては、変圧器分のスペース(搬入経路、設置場所)を確保することですね。物理的なものなので、こればかりは現地調査などで確認する必要があります。
最後に漏れ電流とその有効分(I0 , I0r)を実測したものです。設置状況は、家庭用の金属屋根置き(単結晶7.25kW , PCS 出力5.4kW )と、折半屋根カーポート(薄膜系3.33kW, PCS 出力5.4kW )です。測定日は晴天で、屋根置きは定格5.4kW 出力、カーポート側は影の影響があったものの2.6kW 程度の出力。これを見ると家庭用で小規模ですと漏れ電流は、そこまで考慮する必要なさそうです。今後チャンスがあれば、50kW, 100kWクラスの漏れ電流を測定してみたいですね!!
以上、お読みいただきまして、ありがとうございました!!
この記事へのコメントはありません。